体を飢餓状態に置かない

ダイエットというと、まず食事制限が思い浮かびますよね?
前回(摂取カロリーと消費カロリー)で解説した「ダイエットで痩せる公式」を、もう一度確認してみましょう。

  • 摂取カロリー < 消費カロリー = 痩せる
ダイエットで飢餓状態の女性

たしかにこの通りなのですが、世の中の多くの女性は、食べない方法では、うまくいかないと感じているはずです。

その理由は、極端な食事制限をすると、体が飢餓状態になるため。そうなると、詳しくは後述しますが、脂肪をため込みやすくなってしまうのです。全部が全部、上の公式どおりには行かないわけですね。ここにダイエットで痩せることの難しさがあり、落とし穴があります。

上記の公式は、体を飢餓状態に置かないという大前提で、はじめて成り立つといえます。

飢餓状態というのは、断食や遭難などで何日も食べ物を口にしないときだけの、特別なものではありません。ダイエットで食事制限をすることによって、体は簡単に飢餓状態になります。たとえば朝食を抜くだけで、昨日の晩から食べていない上に、午前中も食べないわけですから飢餓状態に。

また、たとえ1日3食を摂っていても、1食分のカロリーが低すぎれば、栄養失調状態になります。
ほとんどカロリーのない寒天だけで、お腹を満たすようなケースですね。

そのほか激しい運動をしているにもかかわらず、それを補うだけのカロリーを摂取しない場合、かなり深刻な飢餓状態に陥ります。”極端な食事制限”と”運動”は、一番やってはいけない組み合わせです。

基礎代謝以上のカロリーを摂ろう!

人が健康的に生きていくうえで、最低限必要になるカロリー消費が基礎代謝です。
飢餓状態かどうかのラインは、その人の基礎代謝量が基準になります。

基礎代謝とは呼吸したり、心臓や肝臓、腎臓などの内臓、脳などが機能するために必要な、最低限のカロリー消費。わかりやすくいうと、じっとしていても、寝ていても消費されるカロリーのこと。若い女性なら1200kcal前後が、1日の平均的な基礎代謝量になります。成長期にあるなら、これに100kcal上乗せし、年配の女性なら、100kcal引いて考えます。(成長期は、成長ホルモンなどの関係で、基礎代謝量が高くなるため)

ですから、それぞれの基礎代謝量を、少し越えるだけの摂取カロリーが理想です。
そうすればカロリーが低めであっても、飢餓状態にはならないことになります。しかし実際には、細かいカロリー計算をすることは至難ですし、気が滅入ってしまいます。

そこで、腹八分目の食事を心がけることが、ひとつの目安になります。そうすれば、しぜんと基礎代謝量以上のカロリーを摂取できて、しかも食べすぎを防ぐことができます。その結果、上記の公式どおりになります。

前述したように基礎代謝量には、多少個人差があります。とくに、筋肉量が多い人や運動選手は、ふつうの人よりも、かなり基礎代謝量が多くなります。ですから、運動をしている人は、それだけたくさん食べないと飢餓状態になりやすいといえます。逆に運動をあまりしない人や、デスクワーク中心の人は、基礎代謝が低くなるので、食べる量も少なくできます。

いずれにしても基礎代謝量は性別や年齢、運動量などによって違ってくるので、自分の「本当の食欲」に素直になり、敏感になり、「腹八分目」を目安にしてみてはいかがでしょうか。

飢餓状態になると、ホメオスタシスが発動

いったん飢餓モードに入ってしまうと、なかなかダイエットで痩せることができなくなります。
それはなぜかというと、体にはホメオスタシス(恒常性)というシステムが備わっているからです。ホメオスタシスとは、体内環境をつねに一定の状態に保とうとする働き。これは、意識してコントロールできるものではありません。

寒さに震える女性

人間は恒温動物なので、体温を一定に保とうとしますよね?
寒ければ、ぶるぶる震えて筋肉を緊張させ、体温を上昇させます。
反対に暑ければ汗をかき、気化熱によって体温を下げようとします。
意識して体温を上げ下げしたりはできません。

そのほか血糖値が高くなると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されてきて、血糖値を下げようとします。血糖値が低くなれば、膵臓からグルカゴンが分泌されてきて、血糖値を上げるように働きます。

このように人間には、一定の体内環境を保とうとするホメオスタシスが、つねに働いているわけです。こういった働きはすべて、自律神経によって、無意識下でコントロールされています。

飢餓状態になって急激に脂肪が減りだしたときも、ホメオスタシスが発動。
すると、元の脂肪の状態に戻そう!という働きが起こります。

  • 食事から摂取したものが、脂肪にため込まれやすくなる (ちょっと食べただけで太る)
  • すでに蓄積されている脂肪が、分解・燃焼されにくくなる (運動しても痩せにくくなる)
  • 異常な食欲がわいてくる (結局はドカ食いしてしまう)

ホメオスタシスに挑むのは無謀

ホメオスタシスとは、体内環境をつねに一定に保つ働きです。
過激なダイエットによって急激に脂肪が減ると、脳は危機的状況と判断します。そうなると、”できるだけ体の脂肪量を一定に保とう”として、ホメオスタシスが働くというわけです。その結果、体重計に乗ってもなかなか減量できないという、いわゆる「停滞期」を迎えるのです。

そのほか体重が急激に減少すると、元の体重に戻そうという働きが起こり、食欲も旺盛になります。
脳が、たくさん食べるように指令を出すわけですね。食事制限をするほど、異常な食欲が出てくるのはこのため。これを我慢するのにも限界があります。そして、いずれは堤防が決壊するように、ドカ食いを招くわけです。しかも、脂肪をため込みやすく燃焼しづらい状態にあるので、食べ過ぎてしまうと、一気に脂肪がついてリバウンドということに。

大自然の脅威

以上のように摂取カロリー(食事量)を急激に減らすダイエットは、一番やってはいけない方法といえます。
基礎代謝量を下回ってしまうと、脳が危機を感じて、非常事態宣言を発令してしまうわけですね。

このような状態で痩せようとすることは、大自然の脅威に真っ向から挑むようなもの。よほどの強い意志がないと、長続き出来るものではありません。

仮に食事を我慢して体重を減らせたとしても、健康を害したり、内臓を傷めてしまう結果となるに違いありません。ストレスもたまるうえに、拒食症の心配もあります。けっきょく極端な食事制限は、一番やってはいけない間違ったやり方といえるわけです。


以上のように飢餓状態になると、ダイエットが停滞してしまいます。
しかしダイエットで痩せれない原因は、それだけではありません。ということで次回は、基礎代謝以上の量をきちんと食べていても、ぶどう糖が不足すると痩せれなくなるというお話です。

このページの先頭へ