皮下脂肪より内臓脂肪に着目しよう

脂肪には、2種類あることはご存じかと思います。

  • 内臓脂肪 ・・・ おなかの内臓周りの脂肪
  • 皮下脂肪 ・・・ それ以外の脂肪
皮下脂肪をつまむ女性

分かりやすいように、お腹に限定して説明します。「お腹の内臓脂肪」とは、腹筋の内側にある部分で、小腸の周りに付く脂肪です。

いっぽう「お腹の皮下脂肪」とは、右の写真のように”指でつまめる脂肪”。腹筋の外側にある柔らかい部分です。

一言でお腹の脂肪といっても、このように2種類に分類できるわけですね。

たいていの女性は、二の腕周りとか背中、わき腹、太もも、おしりの贅肉が気になるもの。これらは全部、筋肉の外側にあり、指でつまめるので「皮下脂肪」です。

内臓脂肪は減らしやすい

内臓脂肪と皮下脂肪は、エネルギー代謝の点で、以下のような違いがあります。

  • 内臓脂肪 ・・・ たまりやすく消費しやすい = 付いても減らしやすい
  • 皮下脂肪 ・・・ たまりにくく消費しにくい = 一度付くと減らしにくい

脂肪が蓄積する順序は、内臓脂肪→皮下脂肪になります。
小腸から吸収された過剰な栄養素は、その周囲にあふれやすく、それが内臓脂肪になります。
小腸は、お腹の中に無造作に詰め込まれているのではありません。腸間膜という2重の膜で束ねられています。この腸間膜や内臓の隙間に、中性脂肪として溜まりやすいのです。

内臓脂肪は、言ってみればエネルギーの一時保管所。たまりやすい反面、分解されやすいという性質もあります。一時保管所なので、エネルギーの出入りが頻繁で、分解と合成がつねに行われています。
内臓脂肪が、ある程度たまってくると今度は、皮下脂肪にも蓄積するようになります。一度、皮下脂肪にたまってしまうと、なかなか減っていきません。

つまり内臓脂肪は普通預金(タンス預金)、皮下脂肪は定期預金というわけですね。
空腹時や有酸素運動をして脂肪が必要になると、まずは内臓脂肪からエネルギーが引き出されます。
そのためダイエットで、まず顕著な効果が現れるのは内臓脂肪の減少。お腹周りのサイズダウンになります。

このように内臓脂肪は、皮下脂肪に比べて減らしやすいのですが、だからといって放置しておくと脂質異常症の原因になります。これは、脳卒中や心臓病を引き起こす危険のある状態です。

そのほか内臓脂肪を放置していると、肝臓に中性脂肪がたまってきて、脂肪肝になる危険もあります。
これは言ってみれば、肝臓の肥満。やがては肝硬変や肝臓がんにならないとも限りません。

また内臓脂肪が増えてくると、糖尿病や高血圧を引き起こす「悪玉ホルモン」が作られることが知られています。ただし、わずかでも内臓脂肪を減らすことができれば、こういった悪玉ホルモンはすぐに減っていき、代わりに「善玉ホルモン」が内臓脂肪から分泌されてきます。

女性は内臓脂肪がたまりづらい

ここまで、内臓脂肪の危険性を説明してきましたが、じつは、女性は内臓脂肪が蓄積しづらいという特徴があります。それは以下のような理由からです。

  • 胎児が成長するスペースを空けておくため
  • 筋肉を動かすための熱源が、男性よりも少なくてよいため
妊婦

女性は妊娠・出産をすることができる、という点で、男性とは大きく異なっています。

胎児が育っていくためには、内臓脂肪の存在が邪魔になります。そのため女性は、男性よりも内臓脂肪が付きにくくなっているのです。

女性の場合は、少しだけ内臓脂肪が付くと、あとは皮下脂肪にどんどんたまっていきます。これは胎児に栄養を送るための蓄えという意味もあります。皮下脂肪のほうが、ずっと多くのエネルギーを貯蔵できるからです。

女性に内臓脂肪がたまりづらい第二の理由として、筋肉を動かすための熱源が少なくてよいからです。
女性は男性よりも筋肉量が少ないため、必然的に、その熱源となる内臓脂肪は少なくて済むわけですね。

以上のことから女性の場合、それほどの肥満でなければ、前述したような悪玉ホルモンが分泌される危険は少ないといえそうです。女性のほうが男性よりも長生きする傾向がある理由は、こういったところにあるのかもしれませんね。

女性でも内臓脂肪がたまるケースとは?

ただし安心はできません。
このような女性特有の現象を支えているのは、女性ホルモンのエストロゲン。ということは、閉経によって女性ホルモンの分泌量が減ると、一気に内臓脂肪がたまりやすくなることに。エストロゲンが減少すると、悪玉のLDLコレステロールも増えてきます。あらゆる面から、動脈硬化が進みやすくなります。

そのほか、過激な食事制限をしている若い女性に、エストロゲンの分泌不良が起こることがあります。そうなると閉経後の女性と同様に、皮下脂肪ではなく、内臓脂肪のほうに蓄積されやすくなります。ダイエットを始めたあとに生理が止まったり、生理不順を感じたら要注意。

若い女性でも内蔵脂肪が蓄積されれば、悪玉ホルモンが内臓脂肪から分泌されるリスクが高くなります。
その結果、若くして糖尿病や高血圧症などの「生活習慣病」にかかる危険が出てきます。このことからも、食べないダイエットや低カロリー置き換え食品が、いかに危険なことか分かると思います。

しかし、女性ホルモンが正常に分泌されている限りは、女性は内臓脂肪が少ない傾向にあります。
どちらかというと、余分なカロリーは、皮下脂肪のほうに多く蓄積していくわけです。ですから冒頭で述べた貯金の例でいえば、内臓脂肪が少ない女性の場合、皮下脂肪は普通預金であり、預けやすく引き出しやすいといえるかと思います。

ただし無理な食事制限によって、短期間で一度に脂肪を引き出そうとすると、体が飢餓状態に。
そうなると自律神経が乱れて、皮下脂肪だけではなく、内臓脂肪にもため込みやすくなるため要注意です。

ちなみに、豆腐や納豆などの「大豆製品」に含まれている大豆イソフラボンは、エストロゲンの代わりの働きをしてくれます。とくに年配の女性は、食事に積極的に取り入れたいところですね。若い女性でも大豆イソフラボンを摂取することは、多すぎる女性ホルモン(エストロゲン)を減らす働きがあります(エストロゲンはダイエットに有効ですが、多すぎても、乳がんを発症する可能性があるといわれています)。
大豆イソフラボンを納豆などから摂れば、生理痛や月経不順、月経前症候群(PMS)の改善にも役立ちます。

以上で、ダイエットの基本原則の10項目は終了です。
この10項目をすべて理解できれば、”ダイエットで痩せるためのパスポート”を手にしたようなものです。体脂肪を減らすためには、体を飢餓状態に置かずに、しかもストレスを感じることなく、効率的に進めていくことの大切さを理解していただけたかと思います。

正しい知識を身につけて、無理をせずに続けていくこと。これこそがダイエット成功への唯一の近道です。基本をマスターできたら、次はいよいよ具体的な実践へ! ダイエットの食事法に進んでいきましょう。

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