中鎖脂肪酸 (MCT)とは?

脂肪酸というものは鎖状につながっており、通常口にする油は、長い鎖のため長鎖脂肪酸といわれている。それに対して、鎖がその約半分の長さの油が中鎖脂肪酸。この油は、摂りすぎると動脈硬化の原因になるとされる「飽和脂肪酸」の仲間に属する。ところが中鎖脂肪酸は、飽和脂肪酸ではあっても、脂肪を燃焼する作用がある。つまり、動脈硬化の予防に役立つ「健康的な油」といえる。

中鎖脂肪酸は胃で消化されたあと、肝臓で素早く分解されるために、速やかにエネルギー源になる。そのため、体に蓄積しづらい脂肪酸。 (長鎖脂肪酸と比べて、吸収スピードは約4倍、代謝スピードは約10倍)
通常の脂肪は胃では消化されず、小腸で初めて消化・吸収される。その後、血流に乗って全身の細胞に供給される。そして余った分は脂肪細胞に蓄積される。

ところが中鎖脂肪酸は、胃で消化されて、小腸ですみやかに吸収される。
そのあと全身に送られずに、門脈を通って直接、肝臓に送られる。つまり中鎖脂肪酸を摂取しても、肥満の原因にはならないということ。それどころか肝臓において、他の脂肪酸まで燃焼する働きを持つ。その結果、脂肪がたまりづらくなり、ダイエットに有効と考えられる。

肝臓での中性脂肪の分解や排出に関しては、魚介類に含まれているDHAやEPA、タウリンでも、似たような効果が認められる。

肥満の人が、中鎖脂肪酸を含む食事を2週間つづけたところ、体脂肪率や内臓脂肪、体重、ウエスト周りが、すべて減少したという実験結果がある。つまり通常使っている食用油を、中鎖脂肪酸に変えるだけで、勝手にダイエットで痩せることができてしまう可能性がある。

中鎖脂肪酸は、手術後の流動食や、未熟児の栄養源としても長年使われてきた。さらに、これを使用している食用油は特定保健用食品(トクホ)に認可されているので、安心して使用できる。

通常の脂肪酸の使われ方

中鎖脂肪酸の特徴は上記のとおり。ここで長鎖脂肪酸のエネルギー代謝の経路をさらに詳しく解説する。
これを知ることにより、いかに中鎖脂肪酸がダイエットに有効かを理解できる。

長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸の経路の違い

長鎖脂肪酸の場合、食後に小腸壁から吸収されたあと、小腸で作られるカイロミクロンという運搬船に乗って全身を回る。

その後、エネルギーを必要とする筋肉や脂肪細胞に、脂肪酸を供給する。

それが終わると、運搬船のみの「カイロミクロン・レムナント」(*脚注)となって肝臓に戻ってくる。

次に肝臓では、カイロミクロン・レムナントからVLDLを作り出す。
これは、肝臓から全身へと送られる「中性脂肪の運搬船」となる。肝臓では、体内に蓄積されている中性脂肪を、VLDLに乗せて全身へと送り出す(食後よりも、この肝臓からの運搬が原因で脂質異常症になりやすい)。

以上のように通常の脂肪の場合、2段構成を取って、脂肪が全身に供給される。
しかし中鎖脂肪酸の場合、小腸から、すぐに門脈を通って肝臓に送られる。しかも、肝臓内で消失してしまう。それだけにとどまらず、他の脂肪にまで世話を焼いて燃焼するため、脂肪がたまりづらくなる。

* カイロミクロン・レムナントの「レムナント」とは「残りかす」という意味。
これが血液中に増えすぎてしまうと、悪玉のLDLコレステロールと同じように、血管壁にたまり、動脈硬化の原因になる。中鎖脂肪酸なら、このような心配はない。

■ 成分を含む食材 : ココナッツ油、パーム油、ヤシ油、牛乳、母乳、乳製品、ヘルシーリセッタ

ワンポイントアドバイス
中鎖脂肪酸は牛乳にも含まれているので、牛乳には意外にもダイエット効果があったわけです。
ちなみに牛乳には、脂肪の燃焼を促し、筋肉を付きやすくする共役リノール酸も、わずかながら含まれています。医療や未熟児の栄養素としても活用されてきたので、年齢にかかわりなく、安心して利用できるところもいいですね。

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