少しだけ食事量を減らす

お茶を飲む女性

ダイエットで痩せるというと、極端な食事制限によって食欲を我慢するというイメージがあります。

でも、こういったやり方では体が飢餓状態になります。
するとホメオスタシス(恒常性)が発動して、一定の脂肪量に維持しようと働き、脂肪が減っていかなくなります。これが、いわゆるダイエットの停滞期。

また食事制限によるストレスは、ストレスホルモンのコルチゾールを分泌させます。その結果、大切な資源である筋肉を分解しだして、
それを体脂肪に変えてしまうことに。

以上のように、今までよりも急激に食事量を減らすと体内環境が悪化します。それだけではなく異常な食欲まで出てきます。

太りやすく痩せにくい体質になったところに、食欲を我慢できずにドカ食いすれば、太って当然です。
こうしてダイエット前よりも体脂肪量が増えて、リバウンドするわけですね。

こう見てくると、ダイエットで痩せるためには、今までよりも少しだけ食事量を減らすという方法しか残されていないことが分かります。厳密にいうと、少しだけカロリーを減らす、ということ。これなら、さほど食事量に変化がないので、胃もそれなりにふくらむし、満足感があります。

なによりも無理な我慢をしないので、ストレスがたまりません。
そうすると、ストレスホルモンのコルチゾールが筋肉を分解しなくなるので、基礎代謝が落ちることもなくなります。体が飢餓状態にならないので、脂肪を蓄えようとするホメオスタシスも発動しません。

もちろん、毎日ずっと食事量を減らし続ける必要はありません。
まずは、今までよりも少しだけ食事量を減らしてみましょう。そして、その状態をしばらく続けてみます。
そうすれば間違いなく、今までよりは1日の摂取カロリーが減少するはずです。胃も縮んでくるので、より少ない量で満足できるようになっていきます。

少しだけ食事量を減らすと痩せていくことには、生理学的な理由もあります。それをこれから説明します。

レプチンが食欲を抑える

ここで言う「今までより、少しだけ食事量を減らす」という意味は、腹八分目とは少しニュアンスが違います。
腹八分目というのは、満腹が1.0とすると0.8にするということ。太りすぎている人は食欲の感覚がマヒしていることが多いわけです。そこで今まで満腹を通り越して1.5食べていた人は、まず1.4にしてみるということです。そのようにして少しずつ減らしていって、最終的には腹八分目までもっていくことを目標にします。

さて、ここからが本題です。
人の脂肪細胞からは、食欲を抑制してくれるレプチンという物質が出ています。レプチンは脂肪量の多い人ほど、脂肪細胞から多く分泌されます。肥満で太っている人ほど、レプチンが分泌されるということですね。
そして、脳にある満腹中枢に働きかけて、食欲を抑えるように働きます。
そのほかレプチンは脂肪細胞に作用して、脂肪の分解・燃焼をうながす働きも持っています。

まとめると、レプチンというホルモンは、以下の2つの働きをしてくれるわけです。

  • 食欲を抑制する
  • 脂肪の分解と燃焼を促進する

じつはレプチンの作用も、体を一定の状態に保とうとするホメオスタシスの働きです。
飢餓状態になると、急激に脂肪が減っていくので、それを阻止しようとする働きが発動します。つまり一定の脂肪量を保とうとするわけです。それと同じように、急激に脂肪が増えるとホメオスタシスが働き、それを阻止しようとします。つまりレプチンが活発になって、もとの脂肪量まで、脂肪を減らそうとするわけです。
このようにホメオスタシスは、急激な変化を嫌い、元の状態を維持しようとする特徴があります。

こうした理由から、太っている人ほどレプチンの分泌量が多くなり、脂肪を減らそうとする働きが強まります。
ということは、肥満の人ほど食欲が抑制されるはずし、消費カロリーが多くなって脂肪が燃焼していくはずです。このとおりだとしたら、どんどん脂肪が落ちて痩せていきそうですが、実際は正反対のことが起きています。これは、一体どうしてなのでしょうか?

レプチンが効きづらくなっている

レプチンは、摂取カロリーに比例して、食後に脂肪細胞から分泌されます。
つまり一度に食べる量が多ければ、それだけ多く作られます。

その後、血流に乗って約20分後に、脳にある満腹中枢に作用します(このとき、おなかいっぱいと感じます)。
そのため、食事には20分以上かけることが推奨されるわけですね。しかし高カロリーのものを食べると、脂肪細胞から、たくさんのレプチンが一気に脳に押し寄せます。すると、”脳が受け取り拒否状態”に。
パソコンでも膨大なメールが一気に来ると、見たくないですよね?それと同じようなことが起きるのです。

脂肪細胞 →→→ レプチンを大量に分泌 →→→ でも、脳が受け取り拒否
満腹中枢がある、脳の視床下部

専門的にいうと脳の視床下部というところには、レプチンを受け取るポストがあるのですが、その働きが鈍ってしまうわけですね。家に手紙が一度に大量に来すぎて、小さなポストに入らない状態です。入りきらなかった手紙は地面に落ちるだけです。結局は、脳に一度に届くレプチンの量は限られているわけですね。

しかも、一気に押し寄せたことにより脳の処理能力を超え、レプチンの働きが鈍るという皮肉な結果になります。

肥満の人は、せっかくレプチンが大量に分泌されているにも関わらず、それが食欲抑制や消費カロリーの増大に、上手に作用しないわけです。
言ってみれば宝の持ち腐れ。これが肥満の人の実態です。

そうかといって、肥満の人が極端な食事制限をすると、レプチンの分泌量が一気に減少することになります。「レプチンの分泌量は、摂取カロリーの量に比例する」からですね。宝の持ち腐れ状態だったとはいえ、その宝までも失ってしまうわけです。

ですから急激に食事量を減らすと、今までよりも、さらに食欲を抑制できなくなります。
しかも急激に下げたレプチンは、すぐには増えないという性質があります。異常な食欲がわいてくるだけではなく、いくら食べても食欲が収まらなくなるわけですね。こうして食べ過ぎを招いて、さらに肥満を助長することになるわけです。

冒頭で述べたように、飢餓状態からホメオスタシスが発動していれば、なおさら食欲がわいてきます。
また、食べたものが脂肪にため込まれやすい状態になっています。こうして、いろいろな力が作用して、際限なく食べ続けることに。しかも、そのほとんどは脂肪に蓄えられ、結局はリバウンドすることになるのです。

じゃあ、どうしたらいいの?

考える女性

そこで、このページのテーマのように「少しだけ食事量を減らす」わけです。その結果、脳の周辺に渋滞していたレプチンが、やや少なくなります。すると脳の疲れが回復してきて、レプチンの食欲抑制効果や脂肪燃焼効果が出てくるようになります。

レプチンの作用が復活するのですから、脂肪細胞の分解と燃焼も盛んになって、だまっていても消費カロリーが自然にアップしていきます。
このように今までよりも、少しだけ食事量(カロリー)を減らすことが、レプチンの渋滞を解消することにつながります。

渋滞が解消しさえすれば、あとはレプチンが勝手に食欲を抑制してくれますし、消費カロリーも増やしてくれます。つまり、だまっていても痩せていくということです。 (* ただし先天性のレプチン欠乏症の場合は、レプチンが体内で作られないので、レプチンを投与する肥満治療が必要になります)

食欲を無視して、食べたいのを無理に我慢するのではありません。
少しだけ食事量を減らしてやることで、レプチンが満腹中枢を刺激し、ストレスなく食欲を抑えられるのです。こちらのほうが、我慢するだけの急激な食事制限よりも、賢く効率的なダイエット法だとは思いませんか?

以上のように、今までの食事量より少しだけ減らす「ダイエットの食事法」を続けていけば、やがて正常な食欲に戻っていくに違いありません。そのときにこそ、本来の腹八分目を心がければいいのです。

なおレプチンが作用するには、必須ミネラルの亜鉛が不可欠です。
亜鉛が不足するとレプチンが作られませんから、食事から亜鉛を摂取するように心がけましょう。亜鉛はレバー、牡蠣、ゴマ、肉、ココアなどに含まれています。ゴマは、コンビニでも手軽に手に入ります。ココアを飲めば、気分転換をしながら、同時に食欲抑制の効果も期待できて一石二鳥になりますね。

楽に摂取カロリーを減らすには?

食事量とは、言い換えるとカロリーということです。ですから実際に食べる量が変わらなくても、脂肪分を、やや少なくすることによって、簡単にカロリーを減らすことができます。オイルを少し減らすだけでよいのです。

わかめや昆布などの水溶性食物繊維を摂って、余分なカロリーを排出させることも効果的です。
この方法なら、今までと同じ食事量でも、簡単にカロリー控えめにすることができます。

実際の食事量を減らす、というやり方もあります。今までご飯2杯だったところを、1.5杯にするなどですね。
しかし、意志の力で制御しようとしてはいけません。

よく噛んで時間をかけながら食べることでも、我慢せずに簡単に食事量を減らせます。
ということで次回は、咀嚼のダイエット効果を解説します。

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