青魚の栄養素

ダイエットに有効な青魚

いわし、さんま、さば、あじといった青魚には、ダイエットに有効な栄養素がびっしりと詰まっています。

一見、青魚には脂肪分が多そうですが、魚油は肉類に多く含まれる油とは違って、健康にいい脂質です。もちろん食べ過ぎるとカロリー過多になってしまいますが、適度に食べれば中性脂肪やコレステロールを減らしてくれます。
青魚のおもな栄養素には、以下のようなものがあります。

  • EPA (エイコサペンタエン酸) ・・・ 血栓を予防して、血液をサラサラにする
  • DHA (ドコサヘキサエン酸) ・・・ 脳細胞と網膜に多く存在し、頭の働きをよくする
  • タウリン ・・・ 肝臓や心臓の働きを高める。血圧や血糖値などを下げる
  • ヒスチジン ・・・ 体内でヒスタミンとなって、食欲抑制や脂肪の分解に働く
  • たんぱく質 ・・・ アミノ酸スコア100。 トリプトファンはセロトニンとなって、食欲抑制に働く
  • カルシウム ・・・ ビタミンDも含まれているので、骨に吸収されやすい
  • 鉄分 ・・・ 体内に吸収されやすいヘム鉄 (動物性の鉄分)
  • ビタミンB群 ・・・ 神経を鎮静化させる。エネルギー代謝を促進させる

青魚を食べれば、血液中の中性脂肪値やコレステロール値が下がります。
そのうえ必須アミノ酸のヒスチジンの作用で、食欲が抑制されたり、内臓脂肪も減少します。まさにダイエット向きの食材といえるでしょう。ダイエットで痩せたい女性は、ヘルシーな青魚を毎晩食べてみてはいかがでしょうか?ただしアレルギーのある人はヒスチジンを摂れないので、控えたほうがよいかもしれません。
その場合は、EPAやDHAをサプリメントから摂取するという方法もあります。

青魚の栄養素・EPAやDHAは、油分に含まれる成分。油が失われやすい焼き魚より、そのままで食べる刺身のほうがよいでしょう。焼き魚にすると、脂肪が10~20パーセント失われるからです。そのほか、煮汁ごと食べられる煮魚という方法もあります。調理が面倒という人は、いわしやさんまの缶詰でもいいと思います。たまに回転寿司を利用すれば、料理の手間もないですし、鮮度のいい青魚を食べれるので、いいですよ^^

青魚のEPAとDHAに共通の効用

青魚のスシ

青魚には、多価不飽和脂肪酸のEPAとDHAが含まれています。
これは肉類に含まれる飽和脂肪酸とは違って、健康を増進する作用のある「よい脂」。

飽和脂肪酸を摂りすぎると、そのまま中性脂肪に蓄積されたり、コレステロールがたまって動脈硬化の原因になります。
しかし、オメガ3といわれるn-3系の多価不飽和脂肪酸には、次のような効用があります。

  • 血液中の中性脂肪値を下げる
  • 血液中の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす
  • 生理痛を和らげる

青魚の栄養素・EPAとDHAは必須脂肪酸。体内では合成されないので、食事から摂取する必要があります。ただしαリノレン酸を摂取すれば、体内でEPAとDHAに変換されます。ちなみにαリノレン酸を手軽に摂れる食材には、ゴマやクルミなどがあります。

EPAとDHAが血中の中性脂肪(トリグリセライド)を減らすのは、肝臓での中性脂肪合成を抑えるからです。
また肝臓で、中性脂肪の運搬船であるVLDLの産生を抑制するからでもあります。中性脂肪自体と、それを輸送していく運搬船があまり作られないのですから、血液中の中性脂肪値が下がるのは当然といえますね。

血液中の中性脂肪が少なくなれば、必然的に悪玉コレステロールが減少することになります。
この二つは、常に比例の関係にあるからです。血液中に中性脂肪やコレステロールが少なくなれば、血液がさらさらになります。そうなれば血行がよくなって、体温が上昇します。青魚の栄養素・EPAとDHAは、冷え性やむくみ、貧血の解消に役立つわけですね。

それだけではなく、青魚に含まれる鉄分も、貧血の解消に役立ちます。
後述するタウリンの心筋強化作用によって、血行もさらに促進されます。青魚を食べれば、複数の成分が複合的に働いて、体温が上昇して血行がよくなるわけですね。(参考:体を温める効果について

ちなみに青魚のEPAとDHAは、生理痛にも効果があるといわれています。
これは、痛みの原因であるプロスタグランジンという物質をつくる「酵素」の働きを抑制するからです。

EPAの特徴

EPAとDHAに共通の作用について解説してきましたが、この二つは全く同じではありません。
それぞれ、ほかにはない特徴を持っています。ちなみにDHAが不足しているときに、EPAが体内に入ってくると、脳内でEPAがDHAに変換されます。

EPAは、国際的にはIPAとも呼ばれ、血小板の凝集を抑制して、血栓を出来にくくする作用があります。
その結果、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞を予防してくれるわけですね。血液をさらさらにする働きは、DHAよりもEPAのほうが強いといわれています。ただし過剰にEPAを摂取すると、血液が固まりにくくなります。そうなると出血したさいに、なかなか止血できなくなるという弊害もあります。

これはビタミンEやイチョウ葉などの成分でも同様です。抗凝固剤であるワルファリンを服用している場合は、その働きを強めてしまうという「医薬品との相互作用」もあります。

そのほか青魚の栄養素・EPAには、血管の収縮を抑える作用もあり、高血圧の予防・改善に役立ちます。
後述するタウリンにも血圧降下作用があるので、青魚を食べれば効果的に血圧を下げることができます。

EPAは、DHAよりも血液サラサラ効果が高い

DHAの特徴

いっぽう青魚の栄養素・DHAは脳に作用して、頭をよくする効能で知られています。
DHAは、青魚の目の周囲にある脂肪に、とくに多く含まれています。頭から丸ごと食べることがポイント。
悪玉コレステロールを減らす作用は、EPAよりもDHAのほうが強いといわれています。

脳細胞とシナプス

DHAは脳の細胞膜と、目の網膜にとくに多く存在しています。
DHAが脳の働きを高めるのは、シナプスの膜を軟らかくするからです。シナプスとは、神経細胞同士の接合部のこと。

シナプス部分の細胞膜が柔軟になれば、神経伝達物質を放出しやすくなるとともに、情報を受け取りやすくなります。
これが情報の伝達スピードのアップにつながり、結果として頭の回転が速くなるというわけです。

当然、学習能力や記憶力などの脳力向上が期待できます。それに関連して、認知症などの予防と改善にも効果が認められています。

DHAが不足すると、脳内に存在するセロトニンの分泌量が減少するといわれています。
セロトニンは満腹中枢に作用して、食欲を抑制します。そのため、これが不足すると、食べ過ぎに走ってしまう危険が出てきます。またセロトニンが少ないと、うつ病にかかる可能性も高くなります。
なおDHAは、網膜にある脂肪酸の主要成分。DHAを摂取すると、視神経への伝達を速める効果があります。つまり、視覚の反応が速くなるということですね。スポーツ選手は反射神経を高めるために、積極的にDHAを摂ったほうがよいかもしれません。

DHAは、EPAよりも悪玉コレステロールを減らす作用が強い

青魚のタウリン

タウリンといえば、栄養ドリンクに含まれている成分として有名ですね。
タウリンは、もともと魚介類に豊富な含硫アミノ酸(硫黄を含んでいるという意味)。青魚のほかに、イカやタコ、牡蠣などにも含まれています。スルメでいうと、表面に付いている白い粉に、タウリンが凝縮しています。

青魚の栄養素・タウリンは、必須アミノ酸のシステインから体内で合成されます。
しかしタウリン自体を摂取したほうが、より多く補給することができます。タウリンの働きを一言でいうと、体の状態を一定に保とうとするホメオスタシス(恒常性)を助ける作用。たとえばタウリンには、高めの血圧を下げたり、働きの悪くなっている肝臓を活性化させる作用があります。青魚に含まれているタウリンの効能には、以下のようなものがあります。

  • 肝機能を高める ・・・ 胆汁酸の分泌を促す。肝細胞の再生を助ける。脂肪肝の改善
  • インスリンの分泌を促す ・・・ 糖尿病の予防になる
  • 血圧の上昇を抑える ・・・ 青魚のカリウムとEPAが加わるので、相乗効果を期待できる
  • 心臓の収縮力が強くなる ・・・ 血行促進 →冷え性、むくみ、貧血などの予防・改善
  • 眼病予防 ・・・ タウリンは目の網膜に、高濃度に含まれている

タウリンといえば、肝機能を改善する作用で知られています。
タウリンを摂取すると、肝臓で胆汁酸の産生を促します。すると、その原料となるLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を血液中から、たくさん持ってくる必要があります。

肝臓の位置

その結果、血中の悪玉コレステロールが減少することに。
これは水溶性食物繊維のアルギン酸が、小腸で胆汁を吸着して排出する働きと、よく似ています。

そのほか青魚の栄養素・タウリンには、肝臓から中性脂肪を排出する作用があります。これが脂肪肝の改善になります。

タウリンには、アルコールの分解を早める作用もあり、肝臓の負担を軽くしてくれます。また、タウリンは肝臓や腎臓の機能を正常化するため、有害ミネラルの毒素排出機能を高めます。青魚は、デトックス作用にもすぐれているわけですね。

タウリンの見逃せない効用として、心筋の強化作用があります。
タウリンには、筋肉の収縮力を強くする作用があるからです。心臓も筋肉でできているため、そのポンプ作用が高まることに。その結果、1回の拍出で、多くの血液を送り出せるようになります。そうなれば血行が促進されて、体が温まってきます。前述したEPAやDHAにも血行促進作用がありますから、相乗効果が期待できるわけですね。その結果、冷え症やむくみの改善につながっていきます。

青魚の栄養素・ヒスチジン

青魚には、必須アミノ酸のヒスチジンも含まれています。
厳密に言うと、ヒスチジンは体内で合成されます。しかし幼児の場合は、発育に必要不可欠な成分のため、1985年に必須脂肪酸の仲間になりました。

青魚の栄養素・ヒスチジンは、体内に入るとヒスタミンになります。
ヒスタミンには、満腹中枢に働きかけて、食欲を抑える作用があります。また、交感神経に働きかけて褐色脂肪細胞を活性化させ、脂肪を分解・燃焼させる作用もあります。つまり青魚を摂取するだけで、食欲が抑制され、同時に脂肪(とくに内臓脂肪)が勝手に減っていくわけですね。ダイエットで痩せるために、どれだけ必要な成分かが分かると思います。

咀嚼のページでも解説しているように、よく噛むことでも脳内にヒスタミンが分泌され、食欲を抑制したり、脂肪を減らしてくれます。普段の食事でも、時間をかけてよく噛めば、ヒスタミンが分泌されるわけです。しかし、ヒスタミンの原料であるヒスチジンが、体内に不足すると、いくら咀嚼してもヒスタミンが分泌されないことに。青魚の栄養素・ヒスチジンを補うことは、ヒスタミンの材料としてストックしておく意味でも、とても大切なことなのです。

ただし、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー体質の人は、青魚の摂取を控えたほうがよいでしょう。抗ヒスタミン剤という薬には、ヒスタミンの分泌を抑える作用があります。それによって、アレルギー症状が和らぐことからも分かると思います。なお、ヒスタミンは加熱しても分解されにくいので、注意が必要です。

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