運動で脂肪の蓄積を予防

運動後の女性

運動には筋トレと有酸素運動があり、それぞれに役割があります。筋トレは基礎代謝を向上させ、有酸素運動は脂肪を燃焼させることが、おもな役割ですね。

そのほか、食事と組み合わせて考えることで、運動の活用範囲が広がります

食事をすると、まずは胃腸で消化されて、やがて血液中に栄養成分が流れるようになります。
このとき、筋肉と肝臓のグリコーゲンタンクに収まりきらない糖質があれば、脂肪細胞に送られることに。
食べ過ぎたり甘いものをたくさん摂取すると、脂肪に蓄積されやすくなるわけです。

でも、血液中にどんなに多くの栄養素があふれていても、筋肉と肝臓のグリコーゲンタンクに、ある程度の空きがあれば、まずはそのなかに流れ込みます。血中の余分なグルコース(糖分)を、グリコーゲンタンクが吸収してくれるわけですね。その結果、脂肪細胞に蓄えられる危険が減少することに。

具体的には食事前に運動で筋肉を疲労させることによって、筋肉のグリコーゲンタンクに空きができます。
すると余分な糖質は、まずはそのなかに入っていきます。また食事のあと、お腹が落ち着いてきたころに運動することによって、血液中に流れている栄養素を即、使っていけます。そのまま放置していれば、余分な栄養素は脂肪細胞行きとなりますが、血液中の栄養をエネルギー源にすれば、それを防げるわけです。

血液中の糖分は、いったん脂肪に変換されて「中性脂肪」として蓄積されてしまうと、取り出すのがやっかいになります。でも「血液中に流れている糖質の段階」で、グリコーゲンタンクに吸収させたり、筋肉細胞に消費させれば話は別。脂肪にたまる”事前の段階”で処理することができます。

ただし以上のテクニックは、脂肪の蓄積を「予防」するためのテクニックです。
すでに多くの脂肪が蓄積している場合は、当サイトで解説している筋トレや有酸素運動を、地道に行なっていく必要があります。でも「今日は宴会でたくさん食べる予定」とか、「ついつい、たくさん食べ過ぎちゃった」という場合には使えるテクニックです。また、「たくさん美味しいものを食べながら、痩せていきたい!」という人にも役立ちます。運動が、あたかもドミノ倒しのストッパーのような役割を果たしてくれるのです。

食事前の運動効果

食事の前に運動をしておけば、肝臓と筋肉にあるグリコーゲンタンクには、ある程度の余裕ができます。
そうすれば、その後の食事で、まずはタンクの不足した分が優先的に補充されます。

肝臓のグリコーゲン

肝臓のグリコーゲンタンクは、食事をしていない時間帯に、血糖値維持のために小出しにして使われます。ウォーターサーバーのようなものですね。

昔の人は、いつ飢餓状態になるか分かりませんでした。
その情報が、今でも遺伝子に残っているわけです。そのため、タンクに不足があれば緊急時に備えて、まずは優先的に満タンにしておこうとします。
肝臓には300~400kcalの糖質を収納できます。

いっぽう筋肉のグリコーゲンタンクは、血糖値の維持には使われません。つまり、どんなに低血糖になっても使われないということ。むしろ低血糖時には筋肉が分解されて、血糖値の維持に役立てられます。筋肉内に貯蔵されているグリコーゲンは、運動時にのみ使われるようになっています。

はるか昔の人たちは、いつ猛獣に襲われるかわかりませんでした。そのため全力で戦ったり、逃げたりするエネルギーを常に体内に蓄えておく必要がありました。その経験が、今でも遺伝情報として残っているといえます。ですからもし筋肉内のグリコーゲンタンクの量が不足していれば、食事のときに優先的に補充されます。筋肉のグリコーゲンタンクは、約1000kcalもの容量があります。

このようにグリコーゲンタンクに不足があれば、食事で得られたエネルギーが真っ先に補充されます。
脂肪細胞に蓄積している余裕がないわけですね。ただしグリコーゲンは、糖質が貯蔵しやすい形に変化した状態なので、脂肪の摂り過ぎには対応できません。脂肪細胞しか行き場がないからです。ただし後述するように、脂肪は食後の運動で消費できます。

食事前に肝臓のグリコーゲンタンクを空けておくには、前回の食事から時間を置くしかありません。つまり空腹状態(低血糖状態)にしておく、ということですね。
いっぽう筋肉のグリコーゲンタンクは、筋トレをすることによって、スペースを空けることが可能です。
運動によってしか減らないからです。

脂肪の蓄積を予防する「食事前の運動」は、有酸素運動よりも、カロリーの多い筋トレのほうが適しています。それによって筋肉内のグリコーゲンタンクに、かなりの余裕ができます。そうすれば食事をしたときに、糖質がそこに優先的に補充されるため、糖質が脂肪に変換されにくくなります。

食後の運動効果

空手をする女性

食事をすると、まずは胃や腸で消化・吸収されて、やがて血液中に栄養素が流れていきます。
その後のプロセスは、前述したとおりです。余分な栄養素が、いったん脂肪細胞に蓄えられてしまうと、取り出すのは容易ではありません(内臓脂肪は簡単に取り出せますが、皮下脂肪はやっかいです)。

そこで食後に、血液中を栄養素が流れているときを狙って運動すれば、その栄養素を運動のエネルギー源として、その場で使っていくことができます。

有酸素運動をするときでも、最初のころは血液中を流れている糖質や脂質が使われます。それと同じことで、血液中に栄養分があるかぎりは、それが優先的に使われるわけですね。

ですから食後に、有酸素運動でも筋トレでもいいので体を動かせば、余分な栄養素を筋肉細胞が吸収し、消費してくれます。それが脂肪の蓄積を防ぐことに。

ただし当然ですが、食べた直後に運動すると、胃腸に負担がかかることになります。
胃腸が消化しているときに体を動かすと、筋肉のほうに血液が多く流れ込んでしまって、胃腸への血流が減少するからですね。それに食事の直後に動いても、まだ血液中には、それほど多くの栄養素は流れていません。そういったことから、食事をしてから最低でも30分は空け、できれば1時間くらい経って、お腹が落ち着いてきたころを見計らって運動しましょう。

ただし「体脂肪の燃焼」が目的だと、「効率的な有酸素運動」で述べているように、食後1時間くらいの有酸素運動は効率が悪くなります。食後しばらくは血糖値が上昇するために、膵臓からインスリンが多く分泌されます。そうすると、体脂肪をうまく分解できないからです(インスリンには、脂肪を蓄える働きがあります)。
しかし、「脂肪の蓄積の予防」が目的なら、食後しばらく経ってからの有酸素運動は、とても役立つエクササイズになります。

もちろん食後の運動は、筋トレでもOKです。
筋トレは有酸素運動よりも糖質の消費カロリーが多いので、よりいっそう脂肪の蓄積の予防に役立ちます。
しかも筋肉を刺激すると、成長ホルモンが分泌されるので、その面からも脂肪の蓄積を防ぐことができます。成長ホルモンには筋肉を修復する作用のほかに、脂肪を分解する働きもあるからです。

体が飢餓状態になっては逆効果

以上、食前と食後のダイエット運動の効果について述べてきました。
もちろん両方行えば、さらに脂肪が蓄積しづらくなります。そうなると、好きなものを思う存分食べても、まったく太らないという芸当も可能になります。運動選手は、思いっきり食べても太りませんが、消費カロリーが多いので当然といえます。

ただし、極端な食事制限をしていると、こういったテクニックは裏目に出てしまうことに。
食事制限で、すでに体は飢餓状態。そこから、さらに筋トレで追い込むと、そのあとの食事で「脂肪に蓄える働き」が活発になってしまいます。しっかりと1日3食を摂ったうえで、食前食後の運動を活用していきましょう。むしろ、「たくさん食べても大丈夫なテクニック」なのですから、そんなに食事を減らすことはないわけです。


ここまで「ダイエットの運動法」を続けて読まれてきた方、大変お疲れ様でした。
ダイエットの基本原則食事法運動法のすべてをマスターできたなら、ダイエットで痩せるための成功切符を手に入れたようなもの。あとは、実際に行動に移すのみです。

以上、主にダイエットの食事法や運動法に焦点を当ててきました。いわゆる”ダイエットの王道”ですね。
じつはそのほかにも、ダイエットで痩せるための奥の手が存在します。正しい原則と食事法、運動法を実践した上で補足的に取り入れれば、あなたのダイエットをさらに加速していくことでしょう。

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