コルチゾールとは?

コルチゾールとは、副腎皮質から分泌されるストレスホルモンのこと。
副腎は、左右の腎臓の上に帽子のように乗っかっている内分泌器官。その表面の皮の部分が副腎皮質。
コルチゾールはステロイドホルモンとも呼ばれる。脳下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の指令を受けてから分泌される。コルチゾールは、緩やかで慢性的なストレス反応を引き起こす。この状態がいつまでも続くと、ダイエットに不利に働き、健康を害することになるので注意を要する。

視床下部と下垂体の位置

ちなみに素早いストレス反応は、交感神経系の末端からノルアドレナリンが、副腎髄質からはアドレナリンが分泌される。副腎髄質は、交感神経系による作用を、ホルモンの面からバックアップするため、結局この二つのホルモンは交感神経系の働きといえる。こちらは同じストレス反応でも、脂肪の分解を促進するダイエットの味方。

一方、辛い食事制限や、きつい運動を毎日続けていると、次第に精神的ストレスがたまり、コルチゾールの分泌量が増える。コルチゾールはストレスに対処するために、脳のエネルギーを確保する働きがある。

その方法として、貴重な筋肉を分解してブドウ糖に変え(糖新生)、血糖値を上昇させる。
ただしインスリンの働きを低下させて、筋肉細胞への取り込みを鈍らせるため、高血糖となり糖尿病の危険が出てくる。筋肉細胞に血中のブドウ糖(グルコース)を取り込ませないのは、ストレスを強く感じている脳のためだけに利用させるため。(高血糖にするのは、脳へのエネルギーを増やすためだから)

しかし結局は、分解されたブドウ糖の全てが、脳に送られるということはない(あくまで待機状態)。
その結果、大量に余って行き場を失ったブドウ糖は、脂肪細胞(とくに内臓脂肪)へと蓄積されることになる。以上のプロセスを一言でいえば、筋肉が脂肪に置き換わっていくということ。辛い食事制限などで慢性的にストレスを感じ続けていると、筋肉量が減っていくため、基礎代謝量がどんどん低下していく。

コルチゾールによる、そのほかの作用

コルチゾールの分泌量が多くなると、脳へとフィードバックされる。
それを視床下部が感知すると、下垂体からのACTHの分泌量を抑制する。すると副腎皮質に届くACTHの量が少なくなるので、コルチゾールの分泌量も減ることになる。これを負のフィードバック、あるいはネガティブ・フィードバックという。これは、コルチゾールの血中濃度を上げすぎないための恒常性のしくみ。

しかし、あまりに大量のコルチゾールが一度に脳に届くと、脳のレセプターが、うまく働かなくなってくる。
そうなると副腎皮質は、ますます多くのコルチゾールを分泌するようになるため、だんだん肥大化してくる。
そうして増えたコルチゾールは、よりいっそう脳のレセプターの働きを悪くするという悪循環に。その結果、感情や本能を司る大脳辺縁系に悪影響を及ぼす。感情が鈍くなったり、大脳辺縁系にある(記憶の一時保管所である)海馬が萎縮して、記憶力が低下したりする。

たとえばPTSDなどの患者では、多量のコルチゾールが脳にフィードバックされて悪影響を及ぼす。
その結果、記憶と感情が鈍る結果となる。あまりに苛酷な環境は、人の記憶を失わせ、無表情に変えてしまうといわれている。これは慢性的に、強いストレスが掛かり続けた結果。ダイエットでも注意を要する。

そのほかコルチゾールが多くなると、免疫力が低下するために感染症にかかりやすくなる。
ガンにかかりやすくなったり、抗酸化酵素の働きが弱まって、細胞が活性酸素によって酸化されやすくなる。その結果、老化が進む。このようにコルチゾールは、健康とダイエット、アンチエイジングの敵といえる。
災害による避難生活は、コルチゾールを多量に分泌させるので、感染症の心配が出てくる。

ちなみにコルチゾールは、 糖質コルチコイドと呼ばれることもある。
コルチゾールは、糖質コルチコイドの95パーセントを占めるため、ほぼ同一視されている。
コルチゾールが増えると、抗炎症作用を引き起こすので、体のむくみや痛みを減少させる作用がある。たとえば興奮していると、怪我をしていることに気づかないことがよくある。しかし、あとになってリラックスして冷静になると、いきなり痛みが襲ってきて、怪我をしていることに気づいたりする。

コルチゾールが分泌される時間帯

コルチゾールは、ストレス時以外にも分泌されている。
深夜から朝方にかけて多く分泌され、目覚めの準備に役立っている。睡眠中は副交感神経が優位だが、起床時間が近づいてくると交感神経に徐々に切り替わっていき、コルチゾールが分泌される。それによって血糖値を上昇させて、細胞を目覚めさせていく。

このように朝方にはコルチゾールが分泌されるため、朝起きた直後というのは、意外にも血糖値が高い。
しかし、それはわずかなため、すぐに消費されて低血糖になってしまう。そのため昼まで活動するためには、しっかりと朝食を摂って、血糖値を上昇させる必要がある。

朝を過ぎると、コルチゾールの分泌量はだんだん減っていき、夕方に最低レベルとなる。
そのため夕方に有酸素運動をすれば、血糖値の上昇やインスリンの分泌の危険が少なくなる。しかも空腹状態であれば、グルカゴンが脂肪を分解しているので、有酸素運動にさらに有利になる。つまり夕方の時間帯は、脂肪を燃焼する絶好のチャンスということ。

そのほか無理に早起きをすると、1日中コルチゾールレベルが上昇することが知られている。
眠いのに無理して起きることは、一種のストレスであるため。こういった生活を続けていると、免疫力が低下して風邪などにかかりやすくなる。それだけではなく、高血圧や脳卒中を引き起こす可能性が高くなることが知られている。早起きで不調になる人は、できることなら遅い時間まで寝ていれば、日中のコルチゾールレベルが下がる。もし早起きしないといけない仕事なら、その分早く寝るしかないといえる。

普段からストレスが多い人は、本来なら分泌量が低下するはずの日中も、ずっとコルチゾールレベルが高いままになる。そうなると副腎皮質が肥大して、先ほど述べたように、レセプター(受容体)の働きが悪くなる。
その結果、ますますコルチゾールが多く分泌されるという悪循環に陥る。

こういう人は、朝方に分泌されるコルチゾール程度では、目覚めるほどの刺激とはならない。
これは受容体の感度が低下しているため。その結果、なかなか朝起きられないということに。ロングスリーパーの人は、日中のコルチゾールレベルが高いために、目覚めが悪く、どうしても睡眠時間が長くなるとも考えられる。こうした現象は、薬を飲んでいると耐性がついてきて、だんだん効かなくなってくることと一緒。
レプチンとレプチン受容体でも、同様の関係が認められる。

コルチゾールの作用を専門的に解説

コルチゾールによる血糖値上昇の働きを、さらに専門的に解説する。
コルチゾールの標的器官は、肝臓や全身の筋肉、脂肪。まず肝臓では、蓄えられているアミノ酸から糖新生(新しくブドウ糖を作ること)する。さらに、全身の筋肉(たんぱく質)にも働きかけ、アミノ酸に分解。(*脚注)
それを肝臓に送り込み、これも糖新生する。

筋肉(タンパク質)をアミノ酸に分解するものの、筋肉の成長のためには使えない状態となる。
前述したように、肝臓で糖新生をする必要があるため。こうして糖新生を進めていくと、当然のことながら、血液中にはブドウ糖が多くなり高血糖になる。しかし、糖新生で作られたブドウ糖に関しても、アミノ酸と同じように、他の組織(筋肉細胞のミトコンドリア)で、ほとんど利用できない状態となる。つまりインスリン抵抗性が高まるために、血管内に、ブドウ糖が袋小路になっているということ。

このように、コルチゾールは高血糖を引き起こすにも関わらず、あえてインスリンの働きを鈍らせて、細胞へのブドウ糖の取り込みを抑制する。これは糖尿病の危険が増すということ。それでは、どこでブドウ糖が使われるのかというと、それは脳。

以上述べてきたコルチゾールの作業はすべて、血糖値を上げることによって、ストレスを受けている脳に、たくさんのブドウ糖を送るための対策。そうすることによって脳の働きを高め、ストレスに対処しようとする。
しかし結局は全て使われずに、たいていは高血糖の状態が続いて、動脈硬化や糖尿病を引き起こしたりする。あるいは、余ったブドウ糖が内臓脂肪に蓄えられることになる。

コルチゾールは、脂肪細胞にも働きかけて、脂肪も分解するが、通常のようには、それを燃焼することはできない。脂肪がたまりやすい箇所は、内臓脂肪や顔、背中、首。手足が細いのに、お腹が出ていたり、顔がむくんでいたりする人は、コルチゾールの分泌量が多い可能性が高い。

* コルチゾールが過剰に分泌されると、全身の筋肉(たんぱく質)が分解されていくため、皮膚の再生が滞る。その結果、皮膚が薄くなるという副作用がある。自分の皮膚が、はっきりと静脈が見えるほど薄いかどうかで、筋肉が過剰に分解・糖新生されているかどうかを判断できる。

* 関連ページ → 慢性的なストレス

ワンポイントアドバイス
ストレスをかけるダイエットをすると、コルチゾールが分泌されるので、気をつける必要があります。たとえば食べたいものを我慢したり、極端な食事制限などですね。それって辛いですよね?これが長いこと続くと、コルチゾールが分泌されて、あなたの筋肉をどんどん分解していくのです。そうなると脂肪が増えていって、しかも高血糖から糖尿病にかかりやすくなります。

これは運動にもいえます。有酸素運動が脂肪を燃焼するからといって、毎日長時間エクササイズしていては、ストレスがたまります。それでは脂肪の燃焼どころか、かえって脂肪をため込んでしまうことになります。ダイエットでは無理な食事制限や、長時間の運動はタブーと覚えておきましょう。

コルチゾールは副腎皮質で、コレステロールを原料として作られます。
副腎皮質では、コルチゾール(糖質コルチコイド)のほかに、鉱質コルチコイド(血中のナトリウム濃度を増やして、血圧を上げる)や、DHEAも作られています。

DHEAはコルチゾールとは正反対の働きを持っており、ダイエットと健康長寿の味方です。
つまり脂肪の燃焼を促進したり、免疫力を高めたり、記憶力を増強したりします。原料が同じコレステロールなので、コルチゾールが増えると、DHEAの産生量が減ることに。反対にストレスをかけないように心がけるだけで、しぜんにコルチゾールの産生量が減るために、DHEAの産生量が増えていきます。このことからも、ストレスをかけないダイエット法こそが大事なのです。

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