インスリンとは?

インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島から分泌されるホルモン。
食事をして血糖値が上がる、つまり血液中にブドウ糖が多く流れるようになると、インスリンが分泌される。

インスリンが分泌されると、全身の筋肉細胞の外にあるインスリン受容体と結合する。
するとミネラルのセレンの助けを借りて、細胞内にブドウ糖が取り込まれる。その結果、血液中のブドウ糖(グルコース)が少なくなり、血液がさらさらになる。と同時に、各細胞は活動のためのエネルギー源を得て、エネルギー代謝を行なうことができる。

反対にインスリンに抵抗性が生じたり、分泌不良になると、高血糖のままになり、血液がどろどろになる。
これを放置していると糖尿病を招き、動脈硬化を促進してしまう。そのためインスリンが正常に作用することは、健康のためには必要不可欠といえる。

インスリンは全身の細胞に働きかけて、ブドウ糖を細胞の中に取り込ませる。
しかし、今すぐ利用できないものは、筋肉と肝臓にあるグリコーゲンタンクに貯蔵する。こうすることによって、次の食事までの間に小出しにして、エネルギー源にする。もしもグリコーゲンタンクの容量をオーバーした場合は、ブドウ糖を中性脂肪に変換して、脂肪細胞へと蓄える働きもする。

血糖値をゆるやかに上昇させる=太りにくい

GI値(*脚注)の高い食材を食べると、一気に血糖値が上昇するため、大量にインスリンが分泌される。
そうなると各細胞が消費しきれなくなり、脂肪細胞へと蓄えられやすくなるので注意を要する。わかりやすく言うと、コップにゆっくりと水を注げば、こぼれない。しかし勢いよく注ぐと、コップから大量に水がこぼれてしまう。この「こぼれた分」が、脂肪細胞に蓄積されることに。

この点に着目した方法が、低インスリンダイエット。GI値が60以下の食材を選んで食べることによって、太りにくくなるという理論になる。極端な食事制限よりはマシだが、選り好みをするため、栄養バランスが崩れる危険がある。そのほか、食べたいものを食べれないというストレスがたまる危険もある。

別にGI値の低い食材を選ばなくても、体内でゆるやかに吸収させれば、低インシュリンダイエットと同じことになる。たとえば、水溶性食物繊維緑茶のカテキンを活用すると、血糖値の上昇が緩やかになる。

カテキンの場合は、小腸内でブドウ糖に分解する酵素(アミラーゼ)の働きを阻害する。
そのため、急激な血糖値の上昇を抑制してくれる。水溶性食物繊維の場合は、小腸内で水分を抱え込んでゲル状になるため、ブドウ糖を包み込む。これが、小腸壁からの吸収を遅らせることになる。結局は、インスリンが少しずつ分泌されるため、脂肪細胞にたまりにくくなるということ。

このようにインスリンは、カロリーを蓄える働きをするため、脂肪を分解しようとするダイエットにとっては、敵のように思われている。食後は当然として、食事から2時間くらいまではインスリンの働きが強いため、有酸素運動をしても脂肪が分解されにくい。

反対に朝起きてすぐの時間帯や空腹時は、インスリンではなくグルカゴンが分泌されている。
このときが、有酸素運動などの絶好の時間帯となる。(インスリンにはエネルギーを蓄える作用があり、グルカゴンにはエネルギーを分解する作用がある)

* GIとはグリセミック・インデックスの略。グリセミックは「ブドウ糖の」という意味になる。
GI値が低いほど、血糖値がゆるやかに上昇していくため、インスリンが大量に分泌されなくなる。つまり脂肪細胞にたまりづらいということ。ちなみに、パンよりも白米のほうがGI値が低い。また果物や乳製品はGI値が低いので、ダイエット向きといえる。ポテトやコーンフレイク、レトルト食品はGI値が高い。

インスリン抵抗性と糖尿病

甘いもの、高カロリーのものを過剰に食べる(高血糖になっているのに、さらに食べる)習慣があると、インシュリンが分泌されても、効きづらくなってくる。これをインスリン抵抗性という。

インスリンに抵抗性が生じると、各細胞がブドウ糖をあまり取り込まなくなる。
すると、膵臓はより多くのインスリンを作り出して、大量に放出する必要が出てくる。その結果、血液中にインスリンが増えて、高インスリン血症になる。この状態で、何とかぶどう糖を細胞に取り込ませることが可能になる。

大量にインスリンを産生し続ける状態がつづくと、膵臓は疲弊してしまい、インスリンの産生能力が低下する。そうなると血液中には、ぶどう糖が多いまま(=高血糖)の状態が続き、やがて糖尿病になる危険がある。

糖尿病になると、適正な量のインスリンを分泌できなくなるので、食事を摂っても脳や赤血球にエネルギーが行かなくなる。そのため飢餓状態となり、筋肉と脂肪が減少して、どんどん痩せ細っていくことになる。
それを防ぐために、糖尿病の治療では食事療法や運動療法、インスリン注射が行われている。

ワンポイントアドバイス
インスリンは、決して不要なホルモンではありません。
インスリンがないと、そもそも細胞でエネルギーを利用できません。また高血糖のままだと、血液がどろどろになって血栓ができやすくなります。そうなると動脈硬化を促進したり、心筋梗塞や脳梗塞の原因になってしまいます。適正な量のインスリン分泌は、健康を日々守ってくれているのです。

要は、インスリンと仲良く付き合っていくことがポイント。
文中でも述べているように、血糖値をゆるやかに上げていくように工夫すれば、脂肪に蓄積しづらくなります。あえてGI値の低い食材を選んで食べなくても、カテキンや食物繊維に一切をまかせたほうがストレスが少なくなります。

必須ミネラルの亜鉛やクロム、セレンが不足すると、インスリンの分泌が悪くなって、血糖値を下げれなくなります。とくに亜鉛が不足すると、インスリンが作られなくなります。クロムは、インスリンによる細胞への取り込みを助けます。インスリン注射をしなくても、クロムを摂取することで、糖尿病が改善した例もあるほどです。そのほか糖質の代謝には、ビタミンB1やCoQ10アルファリポ酸の協力も必要です。

このページの先頭へ