自律神経とは?

自律神経は、無意識のコントロールシステム

自律神経とは、その名のとおり、自分で律して活動する神経。
神経には、そのほかに知覚神経と運動神経がある。知覚神経は感覚器官から脳への一方通行であり、運動神経は脳から筋肉への一方通行という特徴がある。

たとえば目からの光の情報は、網膜の視細胞で捉えられ、視神経を経由して大脳の視覚野に届く。
つまり感覚器官から情報を取り込んで、脳で認識する。これは嗅覚、聴覚、味覚、体性知覚(触覚、痛覚、圧覚、温覚、冷覚、皮膚覚)でも同様。これらは外部から情報を取り込むためには必要不可欠。運動神経の場合は例えば、そばにある消しゴムを取ろうとまず考える。次に手の筋肉に指令を送り、実際に手を伸ばす。

自律神経は、このように意識でコントロールできる知覚神経や運動神経とは異なる。
寝ている間でも体の恒常性を保つために、人の意識とは関係なく(無意識に)、独自に活動している。たとえば体温の維持、血圧の調整、心臓の拍動と調整、消化・吸収作業。そのほか血糖値の維持、ホルモンの分泌、睡眠時のコントロール、代謝活動などは、すべて自律神経のおかげ。意識のない睡眠中も生きていられるのは、まさに自動制御装置である自律神経の働きによる。

交感神経と副交感神経

自律神経には、緊張を司る交感神経と、リラックスを司る副交感神経がある。
この二つは、必要に応じて、どちらが優勢になるかが決まる。たとえば災害時などの緊急事態には、誰でも交感神経が優位になる。そうするとアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、血糖値や血圧が上昇する。心拍数も上がる。それによって筋肉や脳へ、より多くの血液を送り、非常事態に備える。

交感神経が「適度に」優位な状態は、脂肪を分解するために、ダイエットに有利とされている。
たとえば筋トレ中や、その直後、あるいは有酸素運動開始から15分くらい経ったころは、交感神経が優位になる。それによって(交感神経系や副腎髄質から)アドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、脂肪分解酵素のリパーゼを活性化させる。その結果、中性脂肪が遊離脂肪酸に分解されることになる。

人によっては大きなストレスが掛かると、交感神経に傾きすぎて、自律神経が乱れてしまうことがある。
すると、無意識のうちにバランスを取ろうとして(リラックスしようとして)、食べ過ぎに走ることに。
これは、甘いものを食べれば副交感神経が優位になることを、経験から知っているため。
また、甘いものを食べることによって、ストレスが掛かっている脳に対して、(脳の唯一の栄養源である)ブドウ糖を補給しようという無意識の行動でもある。(コルチゾールが血糖値を上昇させるとともに、外部からも甘いものを取り込もうとする)

いっぽうリラックスしているときは、副交感神経が優位に働く。
ゆったりと、くつろいでいるときや、寝る前の状態にあたる。副交感神経が優位になると、血糖値や血圧が低下し、心拍数も下がる。ただし胃腸の消化・吸収が活発になるため、脂肪を蓄えやすいともいえる。つまり緊張感のない生活であっては、太りやすくなるということ。朝から体温がもっとも高くなる夕方までは、しっかりと動いたり働いて、交感神経を優位にする。そして、それ以降は、体温が下降していく動きに合わせて副交感神経に切り替え(=リラックスするように努め)、睡眠につなげていくというリズムが理に適っているといえる。

夜になっても交感神経が優位になったままだと、寝つきが悪くなったり、浅い眠りや不眠症に陥る。
浅い眠りになると、寝初めに多く分泌される成長ホルモンの量が減少してしまう。成長ホルモンには、脂肪を分解する働きがあるため、浅い眠りはダイエットを不利にすることに。 (参考:ダイエットと睡眠
そのほか「青年期は交感神経が優位で、老年期は副交感神経が優位になる」という大局的な見方もできる。


もし自律神経が正常であれば、この二つの神経が緊張と弛緩の舵を取って、健康体が保たれる。
言い換えると、自律神経が正常ならば、たとえ食べ過ぎたとしても肥満にはならない。つまり、レプチンが正常に機能して食欲が抑制され、褐色脂肪細胞に指令が行って、余分なカロリーを消費するようになっている。本来なら、それによって肥満の防止が可能。しかし自律神経が乱れていると、体脂肪率を一定に保とうとするホメオスタシス(恒常性)がうまく機能せず、肥満になる。

* 自律神経を整える方法 → 爪もみ療法、 呼吸法

ワンポイントアドバイス
自律神経は直接的には意識でコントロールできませんが、間接的にならコントロールが可能です。つまり深呼吸や腹式呼吸をすれば、交感神経が優位だった状態が、副交感神経に切り替わっていきます。それによって、早かった脈拍が落ち着き、血圧や血糖値が下がってくるわけですね。
爪の根元の角をもむと、副交感神経が優位になって自律神経失調症に有効ですが、これも間接的に調整しているといえます。

副交感神経を優位にする方法としては、すっぱいものや苦いものを少量食べるという方法もあります。そうすると胃腸がびっくりして、急いで排出しようとします。カプサイシンが含まれている唐辛子を食べて、急に排泄したくなったことはありませんか?消化・吸収や排泄作業は副交感神経の範ちゅうですから、これによって半強制的に副交感神経優位に戻すことができるのです。

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