レプチンとは?

食欲を抑制し、余分なカロリーを消費する

レプチンとは、脂肪細胞から分泌されるサイトカイン(生理活性物質)。(*脚注)
食事を摂ると血糖値が上昇し、脂肪細胞が刺激される。それにともなって白色脂肪細胞から、このレプチンが分泌され、血流に乗って脳に作用する。

視床下部と下垂体の位置

脳の視床下部にはレプチン受容体(レセプター)がある。その鍵穴にレプチンが結合することによって満腹中枢が刺激され、食欲が抑制される。そのほかレプチンは、交感神経を優位にすることによって白色脂肪細胞を分解・燃焼し、カロリー消費量を高める働きもする。

カロリー消費のプロセスを解説すると、レプチンに刺激を受けた視床下部は交感神経を優位にして、ホルモンのノルアドレナリンを分泌する。その情報は、全身にある白色と褐色の2種類の脂肪細胞に届く。

全身にある白色脂肪細胞は、β3アドレナリン受容体を介して、
その情報を受け取る。すると脂肪分解酵素のリパーゼが活性化して、脂肪酸に分解される。

同じように褐色脂肪細胞にも、β3アドレナリン受容体を介して、交感神経からの指令が届く。
やがて白色脂肪細胞から分解した脂肪酸が流れてくるので、脳からの指令に従って、褐色脂肪細胞内のミトコンドリアで脂肪酸の燃焼を始める、というプロセスになる。以上の流れは、(UCP1の遺伝子に異常がなければ)運動なしでも脂肪が分解・燃焼するため、ダイエットには非常に有利になる。

* サイトカインはホルモンのように、血液中を流れて他に働きかける性質を持つ。
ホルモンの場合は、内分泌器官から分泌されるが、サイトカインの場合は、特定の分泌器官を持たないことが特徴。ただしその働きは、ホルモンとほとんど同じなので、ホルモンと呼ばれることもある。

レプチン抵抗性と対策法

レプチンは脂肪細胞の数が多いほど、また脂肪細胞が大きいほど(肥満であるほど)多く分泌される。
そのため本来なら、太っている人ほど食欲が抑制され、またカロリー消費量も多くなるはず。しかし、この世に肥満が存在するということは、実際にはレプチンがきちんと機能していないということ。

つまりレプチンの受容体に抵抗性が生じているため、脳にある受容体(レセプター)が受け取り拒否状態になっていると考えられる。それは実質的に、脳にレプチンが届いていないのと同じことになる。レプチンは、レプチン受容体と結合して、初めてその効果を発現するため。

肥満になって脂肪細胞が肥大化すると、当然多くのレプチンが大量に、また一気に脳に届けられる。
それは受容体(レセプター)の負担を大きくする。そうなると受容体の働きが悪くなってしまい、レプチンとうまく結合できなくなってしまう。同じ薬を長期間服用していると、だんだん効きが悪くなってくることと同様の現象。

そこで対策としては、食事量をやや減らして、少しだけ摂取カロリーを下げることによって、レプチンの渋滞を解消させることが得策。そうすればレプチン受容体の負担が軽くなり、機能が回復してくる。すなわちレプチン抵抗性が改善されて、徐々に受容体がレプチンを受け取れるようになってくる。その結果、本来の働きが戻って食欲を抑制できるようになり、しかも黙っていても褐色脂肪細胞がカロリーを消費してくれるようになる。

以上の原理からすると、急激に食事量を減らす過激なダイエットでは、レプチンの分泌量が急激に減ることになり、脳に届くレプチンの量が激減する。そうなると、食欲抑制の可能性が全くなくなってしまうことに。レプチンがうまく働かない原因は、受容体の疲労にあるわけだから、なにも極端に食事量を減らさなくても、少しだけカロリーを減らせばよい。そうすることでレプチン抵抗性が改善されて、黙っていてもレプチンがダイエット成功へと導いてくれる。

* ちなみに、「先天的なレプチン欠乏症」というケースもある。その場合は、レプチンを投与する治療を行う。

ワンポイントアドバイス
レプチンは、必須ミネラルの亜鉛が不足すると働きが鈍るので、亜鉛を摂取することが大切。
ミネラルはすべてが関連し合って働くため、バランスよくミネラルを摂取しましょう。同時にビタミンを摂ることによって、レプチンの分泌はさらによくなります。

食欲の抑制にはレプチンだけではなく、脳内に分泌されるセロトニンヒスタミンも関わっています。レプチンの働きが悪い人は、この二つの働きを高めればよいのです。ヒスタミンにはレプチンと似たような作用があり、食欲抑制とともにカロリー消費量を増やします。

少しだけカロリーを減らすには、咀嚼することがもっとも簡単です。
よく噛んで食べれば、脳内にセロトニンやヒスタミンが分泌され、早い段階で満腹中枢が刺激されます。そうすると我慢しなくても、簡単に食事量を減らすことができるのです。セロトニンとヒスタミンの力を借りて食欲を抑制しているうちに、だんだんとレプチン受容体の働きが回復していきます。
そうなると、いずれは三つの物質の相乗効果により、さらに食欲を抑制しやすくなっていくのです。

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