リパーゼとは?

リパーゼは脂肪の代謝に関わる酵素であり、2種類に分けられる。
ひとつは「リポタンパク・リパーゼ」といい、毛細血管の内皮細胞の表面(脂肪細胞の外)に存在する。
血液中にある中性脂肪を、この酵素が脂肪酸とグリセロール(*脚注)に分解。そうすることによって、脂肪細胞内に取り込ませやすくする働きがある。

リポタンパクとは、「アポタンパクと呼ばれるたんぱく質」と結びついた粒子状の物質。
血液は、いってみれば水分なので、脂肪分は馴染めない。そこでアポタンパクと結合することによって、血液中に存在することが可能になる。そのほかリポタンパクには、カイロミクロンやHDLコレステロール(高比重リポタンパク)、LDLコレステロール(低比重リポタンパク=いわゆる悪玉コレステロール)などがある。

ちなみに、取り込まれた脂肪酸とグリセロールは、中性脂肪に再合成されて脂肪細胞へと貯蔵される。
これが皮下脂肪や内臓脂肪。つまり血液中に流れている中性脂肪を、そのまま脂肪細胞に蓄えるのではなく、いったん分解してから再び合成するということ。「一見、手間の掛かる手順」を踏むことになる。

リポタンパク・リパーゼの働きを阻害できれば、中性脂肪が脂肪細胞に蓄積しづらくなる。
共役リノール酸には、このような作用があるため、脂肪の蓄積が抑制される。

* グリセロールはグリセリンとも呼ばれる。どちらも同じ意味。

ホルモン感受性リパーゼの活性化

もうひとつは「ホルモン感受性リパーゼ」といい、こちらがダイエットで痩せるために必要な酵素。
その名のとおり、ホルモンからの働きかけがあって、はじめて活性化するタイプになる。リポタンパクリパーゼとは違って、脂肪細胞内に存在する。そして視床下部からの指令があったときに、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセリンに分解して、血液中に送り出す。ホルモン感受性リパーゼが活性化する経路としては、大きく分けて空腹時と運動時がある。さらに運動時には、筋トレ直後、有酸素運動開始から約20分後の2通りがある。(以下、リパーゼに略)

空腹時(低血糖時)は膵臓からグルカゴンが分泌されて、リパーゼに働きかけ、脂肪の分解を促す。
ちなみにグルカゴンには、血糖値を下がり過ぎないようにする働きもある。すなわち血糖値維持のため、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンを、ぶどう糖に分解して血液中に放出する。つまりグルカゴンは、グリコーゲンとリパーゼの両方に働きかけるということ。脂肪は、おもに骨格筋などの、平静時のエネルギー源となる。

空腹の時間帯は、有酸素運動を行うゴールデンタイム。
朝起きた直後は、たいていは空腹時にあたる。すでにグルカゴンがリパーゼを活性化して、脂肪酸が血液中に多く流れている時間帯。そのときにウォーキングをすれば、通常は20分程度かかるところを、運動開始直後から脂肪を燃焼できる。もちろん夕食前の空腹時でも、同様の効果が得られる。

ただし空腹時の運動は、ウォーキングなどの「軽い運動」にすべき。
ただでさえ低血糖である空腹時に、激しい筋トレをすると、さらに深刻な低血糖状態を招いてしまう。そうなると貧血を招いたり、運動中に倒れてしまう危険がある。これは、ゆるやかな運動ほど脂肪酸がエネルギー源となり、激しい運動になるほど、糖質がエネルギー源になるため。この点だけは注意を要する。

食べた直後から食後2時間以内は、グルカゴンが抑制され、インスリン(脂肪にため込むホルモン)が分泌されている。このときは、リパーゼが働きにくい時間帯。そのため、脂肪の分解が目的の有酸素運動は、インスリンが分泌されている時間帯を避ける必要がある。


筋トレの直後は、交感神経が優位になり、アドレナリンとノルアドレナリンが分泌される。
これらのホルモンがリパーゼに働きかけることによって、脂肪酸とグリセリンに分解され、血液中に放出される。ただし筋トレによって分解された脂肪酸は、有酸素運動などによって燃焼しないと、元の脂肪細胞に逆戻りしてしまう。

カフェインを摂取しても、同様にアドレナリン経由でリパーゼが活性化し、脂肪酸に分解される。
この場合も、そのあと燃焼しないと、元に戻ってしまう。ただし空腹時や平静時は、UCP(脱共役たんぱく質)が働くので、運動しなくても脂肪の燃焼が可能になる。前述した共役リノール酸を摂取した場合も、運動なしで脂肪を燃焼させることができる。

ワンポイントアドバイス
リパーゼの働きを活性化させるのは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルです。
ミネラルが不足すると、リパーゼの働きが鈍って、脂肪を減らせなくなるため要注意。
つまり、いくら有酸素運動をしても、そもそも脂肪を効率よく分解できないので、燃焼しようがないわけですね。

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