成長ホルモン(HGH)とは?

成長ホルモンとは、その名の通り、体を成長させる働きのあるホルモン。
そのため子供にとっては、とくに大切。成長期までは睡眠中に大量に分泌されて、筋肉や骨格を成長させていく。成長期以降でも、分泌量は減少するものの、なくなるわけではない。疲労回復や筋肉の成長、細胞の修復に役立っている。たとえ高齢になっても、成長ホルモンは分泌される。ただし成長期以降は、分泌量が確実に低下するので、成長期が終わるとともに基礎代謝が低下して太りやすくなる。

成長ホルモンというと、体の発達だけに関わっているように受け取られがちだが、大きくわけて4つの働きがある。一つは、もっとも知られている骨と筋肉を作る働き。二つめは、脂肪を分解する働き(ダイエット効果)。三つめは、傷んだ肌を修復する働き(美肌効果)。4つめは、免疫力を増強する働き(健康増進効果)。

成長ホルモンは、睡眠に入ってからの3時間の時間帯(ノンレム睡眠時)に、もっとも多く分泌される。
とくに最初の90分に多くなる。深い眠りに比例して多く分泌されるので、浅い眠りだと成長ホルモンもあまり出ない。眠りを深くするためには、食事を早めに済ませて、食事と睡眠までの間隔を、最低でも3時間(できれば4時間)空けることがポイントになる。そうすれば、胃の消化が終わった段階で就寝できるため、眠りが深くなりやすい。その結果として、成長ホルモンが多く分泌される。もちろん、就寝前のリラックスも安眠には有効。

注意点としては、最後の食事から就寝までの時間を空けすぎる(夜更かしをする)と、お腹が空いてきて夜食をしてしまうこと。そうなると余分なカロリーを摂取して、脂肪になりやすくなる。と同時に胃が休まらなくなるため、浅い眠りになってしまう。前述したように、成長ホルモンは脂肪の分解を促進するので、ダイエットで痩せたいのなら、まずは深い眠りを心がけることが大切になる。

成長ホルモンと筋トレ

成長ホルモンは筋力トレーニングのあとにも分泌される。
それは、筋トレによって筋繊維が断裂し損傷するため。筋肉が分解してアミノ酸になると、それが血流に乗って、間脳にある視床下部に届く。筋肉が破壊されたという状況を感知した視床下部は、すぐ下にある下垂体前葉に指令を送り、成長ホルモンを分泌させて派遣する。成長ホルモンが傷んだ筋肉に届くと、せっせと筋肉の修復を始めるという流れになる。

成長ホルモンには前述した4つの働きがあるので、筋トレ後は筋肉の修復以外に、脂肪の分解も促進されることになる。そのため、筋トレ直後を狙って有酸素運動を行えば、運動開始時からすぐに脂肪を燃焼できる。

そのほか筋トレをすると、交感神経が優位になるために、アドレナリン・ノルアドレナリンというホルモンも分泌される。これが脂肪分解酵素リパーゼに働きかけて、脂肪の分解を促す。つまり筋トレのあとは、成長ホルモンと興奮系のホルモン(カテコラミン)という二つの経路から、脂肪の分解を促進するということ。二重の作用によって脂肪が分解されるので、筋トレの直後は、有酸素運動の絶好のタイミングとなる。

通常は、有酸素運動を開始してから15~20分経たないと、脂肪酸が主要なエネルギー源とはならない。
しかし筋トレ→有酸素運動というスケジュールを組めば、すぐに脂肪を燃焼させることができる。これこそが、ストレスのかからない効率的な脂肪燃焼運動。短時間で済むので、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制することにもなる。


そのほかヒト成長ホルモンを、注射で補充する治療法もある。
これには、筋トレで得られる成長ホルモンの増加とは、比べ物にならない効果がある。高齢者に成長ホルモンを投与すると、約半年で内臓年齢や免疫力などが、10~20歳も若返るといわれている。ただし費用が高くつくうえに、日本ではまだ一般的ではないため、気軽に治療を受けるわけにはいかない。

その点、筋トレ(無酸素運動)をするだけでも、普段の何百倍もの成長ホルモンを分泌させることができる。
とくに、ゆっくりと屈伸を繰り返すスロートレーニングや、今はやりの加圧トレーニング(*脚注)を行えば、
よりいっそう成長ホルモンの分泌量を高めることが可能になる。

* 加圧トレーニングとは、チューブで手足の根元などを締め付けて、血流を制限するトレーニング法。
それによって大量に乳酸を作り出し、膨大な量の成長ホルモンを分泌させる。専門家の指導のもとに行わないと、炎症を起こしたり、重大な障害が残る可能性がある。(もちろん専門家がついていれば安全)

ワンポイントアドバイス
成長ホルモンを注射で投与することは、副作用の問題もあり高額なので、現実的ではありません。そのようなことをしなくても、すぐにその場で筋トレ(無酸素運動)を行えば、普段の何百倍もの成長ホルモンが分泌されます。
また1日のなかでは睡眠の初めに、もっとも多くの成長ホルモンが分泌されます。やはりダイエットのためにも美肌のためにも、深い眠りを取ることは、女性にとって大切ではないでしょうか?

ちなみにアミノ酸のアルギニンを摂取すると、成長ホルモンの分泌量を(わずかですが)増やすことができます。成長ホルモンは睡眠時や筋トレ時以外でも、1日中パルス状に、わずかながら分泌されています。アルギニンを摂取すれば、1日全体の分泌量を底上げできるといったイメージです。

アルギニンが多く含まれている食材は、スルメです。スルメにはEPAやDHA、タウリンといった健康成分も含まれていますし、固いので咀嚼する必要があります。咀嚼することは、脳内にヒスタミンを分泌させて食欲の抑制に働くため、一石二鳥にも三鳥にもなります。そのほかチョコレートにも、アルギニンが含まれています。寝る前にアルギニンやL-オルニチンのサプリメントを摂れば、睡眠中の成長ホルモンの分泌量を増やすことが期待できます。

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